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(2)滑舌が悪い、声がこもる等の問題に”聴くことから”アプローチする【姿勢編】

(2)滑舌が悪い、声がこもる等の問題に”聴くことから”アプローチする【姿勢編】

【姿勢編】

前回の【息編】で、「息の通り道を確保する」ために姿勢が大切、ということを書きましたが、実は、それ以前に姿勢が大切な理由があります。 それは、「よりよく聴くため」です。

耳を正しい位置に

姿勢に気をつけなさい、とはおそらく誰しもが小さい頃から言われ続ける一つだと思いますが、「聴く」と「姿勢」が関係していることはあまり知られていないかもしれません。

でも、例えば今ここで、「あの遠い音に耳を傾けてみて」、「耳を澄ましてみて」と言われたら、どのような姿勢をとるでしょうか。

おそらく人によってそれほど大きな違いはないのではないでしょうか。

あごは上がっておらず(軽く引いている)、頭⇒首⇒背中のラインを一本にして、身体全体を音源の方に向ける感じ。いわゆる「全身耳状態」、「全身アンテナ状態」、になっているのではないでしょうか。

身体の臓器、器官は、それらが本来あるべき位置にあることで、その機能を十分に発揮させることができる。耳も然りです。

なにげなく聞いているのではなく、耳を傾ける行為をするときには、自然と耳を正しい位置に置いているのです。

聴き取りの姿勢

また実際に耳は、三半規管を含む内耳前庭というところで、身体のバランスを維持してくれる働きがあります。このお蔭で私達は3次元の空間で生活することができています。

音を聴く、身体のバランスを維持する、という耳の二大機能を発揮させるためにも、
いつも耳を正しい位置に置く、ということが大事です。

ですが、昨今の日常生活においては、遠くの音に耳を馳せることもあまりなく、また小さなイヤホンのおかげで、音量も自在に、どんな姿勢でも音を聴けるようになっています。

しかしこの状態が続くと、やはり耳は本来の機能を落とし、イヤホンを外した時に、聴く力は衰えてしまう可能性があります。

トマティスは、「聴く」を深めるメソッドです。特に「自己聴取」=自分の声を聴くこと、を原点としています。どんな発声の問題も、聴くファーストでアプローチしていきます。

ですので、この姿勢を「聴き取りの姿勢」といい、なによりも大切なのです。

この姿勢の見本は、【息編】でもお伝えしましたが、大仏や観音様の姿勢です。


聴き取りの姿勢のポイント

  • 肩幅ぐらいに両足を拡げる。
  • 手のひらを上に向けて太もものつけ根に置く。
    *手のひらを上に向けると胸のちからが抜け、鎖骨も開きます。
  • みぞおちを緩める。
    *みぞおちを身体の中に入れるようにすると腰が反りません。
  • 横から見た時に、肘は肩の延長線上にある。
        〃  、肩の上に耳が乗っている。
  •     〃  、頭、首、背のラインがつながっている。

この状態で優しく呼吸をして下さい。たくさん吸う必要はありません。
深いところから呼吸ができます。
そして、ウサギのように”耳をスッと立たせる”イメージをして、その耳で周囲の音を聴き取ってみてください。耳を澄ますと、心も頭も澄んでくる感覚があります。
ぜひ実行してみてください。
紙面ではなかなかお伝えきれない部分があります。
ご関心のある方は、耳と声の講座にぜひいらしてください