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聴き返されない声とは…。口輪筋を意識する。

聴き返されない声とは…。口輪筋を意識する。

聴きやすい声は、母音がはっきり聞こえている

声に関する悩みの中で特に多いのが「よく聴き返される」という問題です。
この原因として、滑舌が悪い、声が小さい、声がこもっている、必要な息が出ていない、などが挙げられます。

トマティス発声法では、そのひとつひとつを対処的に解決していくのではなく、発声の要素を分解して、“聴く“ことを通して丁寧に積み上げていき、その結果悩み解決に至るという方法です。
その最終的な積み上げが、“母音をきちんと聴く”ことです。

最近のスマートフォンでは、留守番電話に吹き込まれたメッセージをテキスト化して表示する機能が搭載されています。声を再生できない環境ではこの機能が非常に役立ちますが、誤認識されることもまだ多いです。

ですが、時折、完璧に一字一句テキスト化されていることがあり、その後音声を再生してみると、その方の声はとても聴きやすく、そんな声は、母音がはっきりと聞こえています。

そのために、口輪筋を意識する

トマティス発声法の母音練習における大切な約束事は「口輪筋を使う」です。
口輪筋とは、文字通り”口の周りの筋肉”です。

口輪筋を上下左右均等に使います。これは口を横に引くのではなく、縦に開けるということです。
そうすることで、唇と歯の間に空間が生まれます。この空間がなく、唇と歯が密着していると、声はこもりがちになります。唇が、声と息の前方への進行を妨げてしまうからです。

トランペットやホルンなどの管楽器と同様に、音を空間に送り出すためには、口の先端が外に向かって開いている必要があります。
声量を上げても、口輪筋が使われず、唇が外に向かって開いていなければ、ただのうるさい声になってしまいます。

私自身の経験でも、録音された自分の声を聴いて、一つの単語の中で特定の音だけが暗くひずんでいると
感じた場合、その原因はその音を発声する際に口輪筋が怠けていたことがほとんどです。

聴きやすい声とは、最初の一音から最後の一音まで、スムーズにひずみがないことです。
それを実現するための一つの方法が、口輪筋をしっかりと働かせることなのです。

口輪筋を使うことの効用

さらに、口輪筋は顔面神経を介して中耳にある耳小骨の筋肉(アブミ骨筋)とつながっています。アブミ骨筋は「聴く」行為にとても大切な筋肉です。口輪筋を使うことで、耳もより働きます。

口輪筋を使うと英語の発音もよくなります。英語話者の唇を観察してみてください。
ドナルドトランプさんの口は本当に見本のよう。英語は息をしっかり伴なわせていて、高周波音が多く含まれます。その音を発声するには出口である唇は重要です。
日本語は、英語発声ほど前に突き出さなくてもいいですが、歯と唇の間にほんの少しの空間があるかないかで、健やかに相手に伝わるかどうかが変わります。

またそして、口輪筋を使うことには思わぬ嬉しい効用もあります。それは「リフトアップ」です!
実際に、発声コースの最終日には、初日に比べて顔がシュッとする方がいます。

声のため、コミュニケーションため、耳の健康と美容のためにも、口輪筋を意識して使いましょう~。