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(5)滑舌が悪い、声がこもる等の問題に”聴くことから”アプローチする【声の要素編 その2母音】

(5)滑舌が悪い、声がこもる等の問題に”聴くことから”アプローチする【声の要素編 その2母音】

良い声とは?

この問いに対する答えは、様々だと思いますが、
トマティス発声では、「自他ともに疲れない声」としています。

相手に聴くことに苦労をさせない、エネルギーを費やさせない、ということです。
そしてそれは発し手である自分に対してでもです。(自分を疲れさせてしまう声は、当然相手をも疲れさせます)


主張しすぎない声!?

パワーポイントの見やすさが、プレゼンの理解に影響していることを感じたことはありませんか? 

プレゼンの達人は、「見やすさ」に命をかけて、フォント、図の配置、文の簡潔さetc.を考慮していると思います。聞き手が、どれだけ情報を整理してスッと取り込んでくれるかが、鍵だからです。

とあるテレビ番組で、博物館の展示物の照明を担当している方が、「今回のディスプレイはすごくよかった、と言われるのは失敗。作品がきれいに見えたねっていうのはOK!脇役だから」と、話されていました。

声もそうかもしれません。声が前面に主張するのではなく(もちろんそれが必要なこともありますが)、スッと聞き手の耳につっかかりなく入ってくる声。リラックスして聴けて、内容が良く理解できたわ、という声。

究極、どんな声だったか、声の印象が際立っていないくらいがいいのかもしれません。


リラックスして聴けて、情報がスっと入ってくる声とは

それは、一音、一音、全て同じ響きを持っている声です。
演奏家の音が心身に沁みるのは、同じ響きに包まれているからです。音階練習すら響きの美しさに感動します。

同じ響き­に包まれると、無意識のレベルで“安心感”を感じます。
この“安心”の主役となるのは、“骨導ハミング”と“母音”です。


母音の響きを揃える

例えば「おはようございます」は、
   「OHAYOUGOZAIMASU」となり、母音は、
   「OAOUOAIAU」です。

これらの母音が同じ響きを持っていると、耳にスッと柔らかく入ってきます。
逆に全ての母音が異なる響きだと、ガチャガチャしたうるさい声、といった印象になります。

滑舌が悪い、聴き返される、といった場合、舌、唇の動きからアプローチする方法がありますが、母音の響きを揃えることによって解決することが多々あります。


響きを揃えるには

その根本は、やはり”聴くこと” すなわち、耳を十二分に使うことなのです。

発声する前に「聴こうとする」意識。(これが話す前の“準備”となり、とても大切です)
次に、発声しながら「聴く」を実行。

意外と私達は、聴いていないのです。
発する前の息を吸った時から、音が終わった後の息の残りまで聴く。「聴く」ことで、声はちゃんとでてきてくれます。

そして、隅々まで「聴く意識」を持つことが、自分の声に責任を持つ、ということになります。


繰り返すことで耳の解像度が上がる

トマティス発声では、必ずローマ字に変換して練習をします。
どのような母音、子音で構成されているかがよくわかり、音を分解して認識するのに役立ちます。

分解して、認識して、その要素を聴く、を繰り返すと、耳の解像度が上がり、なぜこの単語は言いにくいのか、といった時の解決が自分でより早くできるようになります。

聴き方がカギです!
聴くことからアプローチするトマティス発声にご関心をいただきましたら、ぜひ、入門として「耳と声の講座」(毎月1回開催)にいらしてください。その先に発声トレーニングコースがあります。